「…そういえばさ、この前のミーティングで先輩にバンド名決めてくれって言われたんだけど…」
ライブ前、最後の練習。
最後の仕上げは、カズヤさんもタクマさんもいない、あたしたち3人。
シノブがいい案を出してくれると思って、期待の眼差しで問いかけた。
「あーそういえば、決めてなかったね。別に名前なくても良くない?」
名前無くても良い?!
まさかの展開にあたしは慌てた。
「名前ないのはダメでしょう?3人で決めようよ?」
「じゃあ、れんが決めていいよ。」
そっけなくシノブが言った。
そんなこと言わないでみんなで決めようよ。と言いたかった。
「わかった。あたしが決めても後で文句言わないでね?」
どうしても、シノブに逆らえないあたし。
そして、いつも以上にシノブが冷めているように見えるのはあたしだけだろうか。
あたしとシノブの間に流れるなんとなく気まずい空気。
これは、気のせいなのだろうか。