――――――――
人魚姫の物語。

小さいころ、なんべんが読み返した。






声がでなくても、


『あなたを助けたのは私だよ』


って伝える手段はあったと思って。


だって、王子と結婚できなければ、

あなたは、泡になって消えてしまうんだよ?

人魚の世界にも戻れないんだよ?

そりゃ、好きな人を殺すことなんてできない。



王子のために全てを捨てて人間になったのに、

自分とは違う、別の女の人を想って、結婚していくのを見てるって辛いだけじゃない?


なんとか自分も幸せになる方法って見つからなかったのかな?



幼いながらにどうしてもそれが理解できなくて。



今でも理解できなくて。




・・・今でも、人魚姫がなぜこういう選択をしたのか、納得できるような答えを探している・・・