「あ!みーちゃん!
今日はチョコ持ってきたの?」

「彼に渡す準備はできた?」


考えすぎて
まともに授業も受けられないまま、
ただ机をボーッと眺めて
昼休みに突入した頃、
同じクラスの友人2人が声をかけてくる。

この2人は
私の恋を密かに応援してくれている
とても優しい子たち。

実は、
チョコレートを渡すのを渋っていた
私の背中を強く押してくれたのも
この2人だったり。


「頑張って彼にチョコレート渡すんだよ?」

「でも……」

「大丈夫、
きっと思いは届くはずだから。ね?」


優しい表情で励ましてくれる2人。

だけど、朝から気は重くて、
気を抜けばため息をついてしまう。

せっかく顔を上げていたものの、
へたりと机に突っ伏す。


「……いっそのこと、
自分で食べちゃおうかな。」


思わずポロッと本音が溢れ出る。


「なにをー?」

「あの人に渡す用のチョコ……ん?」


声の違和感に気づき、
机からパッと顔を上げると
そこには悠希くんの姿があった。