「うーん……
私が、あげてもいいのかなって。

彼は人気者だからあげたとしても、
大勢のうちの1人にしか過ぎないってこと、
わかってるから。」


乾いた笑いを浮かべると、
彼は少し早足で私を追い越し、
目の前に立ちはだかる。

思わず足を止めて彼の顔を見ると、
真剣な眼差しに、心臓が締め付けられる。


「そんなことないよ。」

「え?」

「そんなことない!
美那穂ちゃんからのチョコ、
俺だったら欲しいから。

大切な人からもらえるチョコなんて
他の人からもらうものと
比べ物にならないくらい嬉しい!!

だから自信持って!」