「そういえば、
美那穂ちゃんお買い物してたって
言ってたけど、何を買いに行ってたの?」

「あ〜えっと……」


悠希くんにあげるバレンタインチョコを
見に行きましたって
言えるわけない……

口篭っていると、
彼はイタズラな笑みを浮かべて、
私の顔を覗き込む。


「バレンタインのチョコ、
買いに行ってたんじゃないの?」

「えっ?!」


的中され、思わず大きな声を出してしまう。

覗き込んでいた彼の表情は
先ほどとは打って変わって
驚きの表情に変わっている。


「あ、いや、その!」

「すごく焦るね?
別に変なことではないでしょ?

……というか、俺、
たまたまお店から出るところ
見かけちゃって。

あそこって今、
バレンタインデーの売り出しで
店内チョコだらけだから
もしかして〜って思って
言っただけだったんだよね。」

「うっ、当てずっぽうだったの?」


「そう!当てずっぽう!
当てちゃったね。」なんて言いながら
ケタケタと笑う悠希くん。

私は足元を見ながら
「でも、あげるか迷ってるんだよね」
とポツリ、本音を溢すと

不思議そうな顔をして
「どうして?」と聞かれ、
また返事に戸惑う。