私は、深呼吸をすると
手に持ったホットココアの缶を
ぎゅっと握りしめる。

そして……


「……あのね、
私は、悠希くんじゃなきゃ、
ダメなんだよ。」

「それって……」

「私も、好き。」


その2文字を口にした途端、
胸の奥が熱くなって、
心臓の音がさらに加速する。

私は地面を見たまま
その言葉を口にしてしまい、
顔を上げられず、ただただ俯く。

すると、
悠希くんの手が私の頬にそっと触れる。

反射的に顔を上げると、
そこには嬉しそうなだけど
どこか意地悪そうな笑みを浮かべた
彼の顔があった。


「ねぇ、もう一回言って?」

「な、なにを?」

「「好き」って。
ちゃんとこっち見ていってほしいなって
思ったんだ。ダメ?」


期待といったそんな眼差しで
私が口を開くのを待っている。
今度は恥ずかしさで涙目になりながらも、
恐る恐るといった形でその2文字を口にする。