裏口門へ移動中、
そして悠希くんを待っている間、
私は1人で頭を整理する時間が
やっと設けられ、現状を冷静に考えてみる。

悠希くんはまず、私のことが好きだった。

だけど、盛大な勘違いをしており、
別の誰かが好きだと思っている。

そして今から、悠希くんと学校を抜け出し、
悠希くんの心の内を聞きに行く、と。


「どうしよう……」


私も好きだったんだよ、

本命のチョコだって
手作りであなたに向けて作ったのが
あるんだよ。

なんて、スッと言えていたら
今こうして
悩みに悩み頭を抱えている私なんて
いないわけで。

冷静になるつもりが
頭がさらにこんがらがってしまい、
落ち着きなく
ウロウロと裏門付近を歩いていると、
悠希くんの声が聞こえてくる。


「お待たせ!
上手く先生を躱わして来れたよ。」

「え、あ、うん。」

「じゃあ行こ?
早く行かないとバレちゃうよ。」


パシッと私の手を掴み、
そのまま走り出す彼。

急に走り出すものだから、
少し転びそうになりつつも体勢を立て直し、
同じく走り出す。