走って数分後。

気がつけば、私は屋上の扉前にいた。

屋上自体、
鍵がかかってて開けることはできず、
仕方なく屋上前の階段に腰掛ける。

はぁ……と深いため息をつき、
カバンから手作りのカップケーキを出す。


「勇気なんか出るはずないよ。」


独り言をポツリと呟くと、
階段下から大きな声が聞こえてくる。


「美那穂ちゃん見つけた!!」

「ゆ、悠希くん……」


私は慌てて手に持っていたソレを
カバンの中にしまう。

呼吸を乱しながら、
悠希くんはタンタンタンッと
階段を軽快に上り、私の横に座った。