(これだもの……私たち初対面のはずなのに…………って、あれ?こいつ、どうして)
「あの、登華女子の……薙野 清香さんですよね?私、飛香女子の藤野 暁です。こっちは私の姉で紫って言います。……あの、去年の部誌、拝見しました!とても面白くて私、すっかりファンになってしまって」
丸顔の方……暁子は唐突に話を切り出すと、目を輝かせた。思わぬことに清香は目を丸くした。
(こんな敵意を向けてくる相手の妹が、私のファン?)
それは、俄かには信じがたいことだった。清香は暁に気取られぬよう、小さく首を傾げる。
「姉も文章を書くんです。それで文化祭の時に、他の高校の部誌を集めていて。あっ、姉は薙野さんと違って小説を書いてるんですが」
(あぁ……なるほど)
もしかすると、藤式部――紫には前世の記憶があるのではないかと清香は勘繰った。けれど、どうやらそうではないのかもしれない。
彼女が本当に藤式部の生まれ変わりだとしたら、清香の文章に嫌悪感を抱くのは不思議ではない。それを妹――暁が気に入ったとすれば敵意を向けるに十分なように思えた。
「あの、登華女子の……薙野 清香さんですよね?私、飛香女子の藤野 暁です。こっちは私の姉で紫って言います。……あの、去年の部誌、拝見しました!とても面白くて私、すっかりファンになってしまって」
丸顔の方……暁子は唐突に話を切り出すと、目を輝かせた。思わぬことに清香は目を丸くした。
(こんな敵意を向けてくる相手の妹が、私のファン?)
それは、俄かには信じがたいことだった。清香は暁に気取られぬよう、小さく首を傾げる。
「姉も文章を書くんです。それで文化祭の時に、他の高校の部誌を集めていて。あっ、姉は薙野さんと違って小説を書いてるんですが」
(あぁ……なるほど)
もしかすると、藤式部――紫には前世の記憶があるのではないかと清香は勘繰った。けれど、どうやらそうではないのかもしれない。
彼女が本当に藤式部の生まれ変わりだとしたら、清香の文章に嫌悪感を抱くのは不思議ではない。それを妹――暁が気に入ったとすれば敵意を向けるに十分なように思えた。