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「素敵な場所!」


 目的のバラ園を目の前に、芹香は満面の笑みを浮かべながら、目を輝かせていた。東條はそんな芹香を見て、嬉しそうに微笑んでいる。


(素敵なのはあなたたちです!)


 心の中でそう叫びながら、清香は一心不乱にカメラのシャッターを切り続けた。
 バラ園という場所が幸いし、隠れられる場所は多い。今も、二人から程近いバラのアーチの影に身を隠して、崇臣と二人息を潜めていた。


「ふむ……中々」


 そう言って崇臣が芹香を見つめている。どうやら本格的に品定めを始めたらしい。


「中々じゃないわ!最高に可愛くて、綺麗で、教養があって!それから……」

「前から思っていたが、おまえも大概変態だな」


 崇臣はそう言って、怪訝な表情を浮かべた。


「そうよ、芹香限定でね。……あぁ、でも!東條さんと芹香のカップリングも全力で推してるわ」


 清香はシャッターを切りながら、ニヤリと笑った。おまえも、というあたり、どうやら崇臣も、きちんと自分の変態性を自覚しているらしい。清香はふふ、と声を上げた。