「そう!……いいわ、行きましょう」


 芹香と東條が動き出したのを確認して、清香は颯爽と動き出した。一応は壁際をこそこそと動きながら、目立たぬように気を遣う。そんな清香を、崇臣は無言で見つめていた。

 正直、崇臣と行動を共にすることで、芹香たちにバレる可能性は格段にあがるだろう。けれど、別々に動くよりもメリットの方が大きいように清香には思えた。

 そして、崇臣自身、清香と似たような思考回路の持ち主だ。単独行動よりも一緒に動く方が良いと判断したのだろう。何も言わずに清香の後に続いた。
 帽子の上から清香の頭をポンと何かが覆う。見上げるとそれは、崇臣の大きな手のひらだった。


(こいつ……ホント、すーーぐ触るんだから)


 崇臣が不敵な笑みを浮かべている。こういう所まで前世とちっとも変っていない。
 清香は小さく唇を尖らせると、足早に芹香と東條の後を追った。