(そういう意味では少し不安だな……)


 自分で何もかもを選ぶことのできる現代において、芹香が確実に東條を選ぶ保証はない。
 清香としては、芹香が幸せになれるのであればそれで良い。だが、できれば前世で仲睦まじい夫婦であった、芹香と東條が再び結ばれてほしいと願わずにはいられないのだ。


(だって、今度こそ二人で幸せになってほしいんだもの)


 心の中でそう念じながら、清香はぐっと唇を噛んだ。
 前世の芹香について思い出すと、懐かしさや嬉しさとは別に、複雑な感情が清香を襲うのである。


「……お姉ちゃん?」


 一人神妙な顔つきになった清香を、芹香が不思議そうに見つめている。


「あっ……あぁ!ごめんごめん、ボーーっとしちゃって……」

「珍しいね。やっぱりまだ具合悪いんじゃ?」


 芹香が清香の額に手を当てながら首を傾げている。


(可愛いっ!)


 キュン、と胸をときめかせながら、清香が笑った。