(前世でも現世でも、待ち合わせしてデートって初めてだなぁ……って!)


 清香はブンブン首を横に振りながら、一人頬を真っ赤に染めた。


(デート違うっ! これ、デートなんかじゃないしっ!)


 頬をぺちぺち叩きながら、清香は何度も深呼吸をした。


「清香」


 背後から自身の名前が呼ばれ、清香がビクリと身体を震わせる。
 どうやら待ち合わせの相手が到着したらしい。心臓を宥めながら、清香はゆっくりと振り返った。


(あっ……今日も洋服なのか)


 崇臣は、遊園地や図書館に行った日に着ていたものとは別の、藍色のシャツを身に着けていた。うだるような暑さの中、涼し気な色合いや肌触りのよさそうな生地が、見ていて中々感じが良い。

 清香としては、出会った頃に来ていた狩衣や、前世での直衣姿に目が慣れているし、崇臣に似合っていると思う。けれど、洋装だと街中で浮かないのも良い点だった。