「……よっ、汚したのは悪かったわよ」


 清香はあまりのバツの悪さに、眉を顰めた。


(何もこんなタイミングで言わなくたっていいじゃない)


 拗ねた子供の如く、清香がムスッと唇を尖らせる。そんな清香を横目で流し見ながら、崇臣はほんのり口角を上げた。


「洗濯代の代わりに言うことを聞いとけ」


 崇臣はそう言うと、ポン、と清香の頭を撫でた。


(なっ……何よそれ!)


 何故このタイミングで、崇臣がこんなことを言い出したのか清香にも理解が出来た。未だ崇臣は清香の頭を優しく撫で続けている。あまりの気恥ずかしさに清香の頬に熱が集まった。


「~~~~良いわよ! 新しいのを買って渡すから」


 つくづく素直じゃないなぁなどと思いつつ、清香はゆっくりと歩き始める。崇臣はそんな清香の隣で、呆れたような、それでいて穏やかな笑みを浮かべた。


「だったら今度、買い物に付き合ってもらおう。新しいシャツを買ってくれるんだろう? だったら一緒に買いに行くのが良い。言質はとったからな」

「どっ、どうしてそうなるのよ!」


 言い返しながら、清香は思わず笑った。崇臣はそんな清香を見て、満足そうに笑っている。