目の前に広がるのは錦絵のような光景。
緑、赤、黄色、オレンジ、すべてが絶妙に混ざり合って、照らされた照明によって黄金色に輝いて見える。
これは夢かしらと錯覚してしまうほどの圧倒的な臨場感と迫力が私を包み込む。

「すごーい」
一言では表現できないほどの色彩に、私はただただ感嘆の声を上げることしかできなかった。

それにしてもなんという光景だろう。
開けられた引き戸の向こうにあったのは大広間と呼んでもいいくらいの広い空間。
磨き上げられたフローリングの中央にはテーブルと椅子が用意され、食事のセッティングも終わっている。
そして何よりも驚くのが壁一面に設けられた大きな窓。
その先に広がるのは美しい紅葉。それはまさに彩の海。

「どう、いいだろ？」
「ええ、とっても」

ここは東京から少し離れた郊外。
当然自然も豊富だし、紅葉が見られたって不思議でない。
しかし、これは凄すぎる。

「できるだけ自然を壊すことなく、それでいて部屋からの眺めを最優先して設計してもらったんだ。人が自然の中に溶け込む空間をイメージして作ってもらった」
「確かに、飲み込まれてしまいそうです」

この景色が美しく映えるために計算された照明とバランス良く配置された木々。
窓のすぐそこにあって手が届きそうな自然を堪能するために、室内の照明は少し落とされている。そのせいで、外からの明かりが室内を照らし幻想的な雰囲気をさらに醸し出している。