寂しくなるな〜。


昼休みに入り、茉莉花が来るまで遠藤先生のところに行くのを待ってようと思った。


そう思った矢先、後ろから一番聞きたくない声がした。



「姫野さん、今ちょっといいかな?」



それは優しくまるで割れ物を触るように。



「な…に?」



「ちょっとついて来てくれない?」



なんと悍(おぞ)ましい笑みなのだろうと思った。


私に「はい」以外の選択肢は無かった。



「は……い」


大丈夫、大丈夫、ちょっとお喋りするだけ。


私は廊下を歩きながら念仏を唱えるかのように自分に言い聞かせた。


私が連れてこられたのはトイレでもなく、北校舎裏でもない。どこかの準備室だった。


そして今に至る。


どうしよう。スマホを取り上げられてしまってどこにも助けを呼べない。


助けて、ルカくん。


咄嗟に心の中でルカくんを呼んでいた。


茉莉花じゃなかったことに自分も驚いている。


でも、そんなの届く訳なくて。



「なぁ、マジでなんか言えよ」



「あな…達……か?」



「は?」



「私の上履きを隠したのはあなた達ですか?」



今度はゆっくり、はっきりと言った。


なんでだろう。


みんな笑ってる。


そんなにおかしなこと言ったかな。