それだけ言って彼女らは自分の席に戻っていった。



「心羽、本当に大丈夫?」



「平気平気」



「待って、俺だけ話知らない感じ?」



「大丈夫、ルカくんは心配しないで」



これは私情だ。誰にも邪魔されたくない。


ルカくんにも、もちろん茉莉花にもだ。



「私は大丈夫だから。ね?」



そこまで言ってチャイムが鳴り響いた。


ホームルームの話なんて全然頭に入って来なかった。


どんなことされるのだろう。


もうそれしか頭に無かった。


それと恐怖。


はっきり言うと、茉莉花にも一緒にいてほしい。でも、それだと私が成長できない。


小さな頃から引っ込み思案だった私は、いつも茉莉花に守られていた。


そんな殻から抜け出さなければならない。


そう思った私が馬鹿だった。


素直に助けを求めれば良かった。








「ルカ君に色目使ってんじゃねぇよ」



ゴッ‼︎



「カヒュッ」



あぁ、痛いな。



「なんか言えよ、ゲス」



言えないよ。


遡ること20分前。



「おい、今日の日直誰だ?」



「は〜い、私!月城です」



「このノート職員室まで持って来てくれ」



「は〜い」



そっか。


今日の日直、茉莉花か。