「じゃあ、行こっか」



「うん。ありがとうございました」



「あぁ、また休み時間にな」



「はい」



先生にお辞儀をして、私達は職員室を後にした。


また茉莉花が手を差し伸べてくれた。


私は迷わずその手をとった。


二人して静かな廊下を歩く。


響いたのは足音だけだった。


それも、コツコツじゃない。スリスリというような擦るような足音。


階段を登って教室まで歩く。


教室のドアまで来た所で私達は止まった。


手を離して、教室のドアを開ける。


そこはいつも通りの教室だった気がする。


本当にそんな気がしたんだ。


茉莉花が教えてくれるまでは。



「ねぇ、心羽、多分あいつら」



そっと耳打ちされた。


そして茉莉花が指を指す。


恵美達だ。


確か、恵美はルカ君のことが気になっていたはずだ。


私達は何事もなかったかのように自分の席に座った。



「心羽、おはよ〜」



後ろからルカくんの声がした。



「うん、おはよ〜」



チッ


確かに聞こえた。舌打ちの音が。


そんなことを全く知らないルカくんは話を続ける。



「昨日ね、こ〜んなに大きい蛇見つけたの」



と、写真を見せてくれた。


悪いが、今はどうでもいい。