心細かった。隣に茉莉花が居たって。


それを勘付いた茉莉花が「ん?」と手を差し伸べてきた。



「恥ずいかもしれないけど、嫌じゃなかったら。手、繋ぐ?」



「じゃあ、お言葉に甘えて」



「ん」



ギュッと差し出された手を取る。茉莉花の手は暖かった。それと同時に心も温まった。


この歳になって誰かと手を繋ぐなんて恥ずかしいけれど、そんなの忘れてしまうくらい心地よかった。


茉莉花と歩いていると職員室まであっという間だった。


繋いでいた手を離す。少し名残惜しかった。



「失礼します。2年3組の月城(つきしろ)茉莉花です」



「失礼します。同じく2年3組の姫野心羽です。遠藤先生お願いします」



なかなか来ることがない職員室に緊張した。



「どうした?お前たち」



少し待つと、担任の遠藤先生が出てきた。



「心羽の上履きがないんです。」



私が言うべき所を茉莉花が言ってくれた。



「持ち帰ってないのか?」



「はい」



「そうか…今日は一旦上履きを貸し出す。何センチだ?それと、休み時間に先生と一緒に探そう」



「はい、ありがとうございます。23センチです」



先生が奥の方に行って貸出用の上履きを取ってきてくれた。それに足をはめる。