まくしたてるように言葉を重ねた私に、美香は呆れたようにため息を吐いた。
「……のんちゃん」
「……はい」
「……まあ、いいけどさ。考え方は人それぞれだから、いいけどさ」
 美香はそう言ってクシャっと笑った。
「なんつーか、私はね、あんたが自分で世界を縮めてないか、って、それが心配なワケよ」
「……そうかな」
「うん。まあ、今はその推し? に夢中なのはわかったから。あんたが幸せならそれでいいや」


 ***


 本屋に寄るっていう美香と別れて、私はぶらぶらと帰路(きろ)につく。なんとなくまっすぐ帰るのがイヤで、学校の側にある河原の土手を目指した。