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「のんちゃん、またアプリなの?」
ファーストフード店のイスにもたれかかりながら、美香は呆れたようにため息を吐いた。
私は息をつめながら、アプリのダウンロード画面に食いついている。
今日は待ちに待ったアプリの先行配信の日なんだもん。これだけは絶対に譲れない!
「やった、百パーセント! あ~楽しみすぎるっ!」
「あんたね……」
美香は苦笑しながら私を見た。
「高校生になっても、二次元かぁ」
「……ううん、ちがうよ」
タイトルコール。
「しいて言えば、二・五次元かな」
スマホの向こうで、私の推しの声が聞こえた。