ある日、
幼稚園に通っている蓮のことをみあと母さんとで迎えに行ったときのことだった。
漣に会えるとウキウキしてよちよち歩きしていたみあの耳に飛び込んできた言葉が。
「れんくんって、もらわれっこなんでしょ?」
「あたしのママが言っていたの。れんくんのパパとママは本当のパパとママじゃないって」
気の強そうな女の子がふたり、漣の行く手を阻むように立ち、意地の悪い笑みを浮かべていた。
漣は無表情でいるが、その拳は今にも女の子たちを殴りそうなぐらいにブルブルと震えていた。
「なんてことっ…!」
母さんが急いで蓮の元に駆け寄ろうとした時。
「…え?みあっ?」
さっきまでよちよち歩きだったはずのみあが、ビックリするぐらいの速さで漣の元へ向かうと、女の子たちを次々とちからいっぱい突き飛ばした。
尻餅をついた女の子たちはショックを受けたのか「わーんっ!」と泣き出し、その騒ぎで他の園児や保育士も集まってきた。
そんな場で、みあは怒りを露わにして、叫んだ。