正確にはきっと笑ってなどいなかったのだろう。

けれど、当時の漣には生まれたばかりの赤ん坊が本当の意味で笑わないことなど知る由もなく、ただただ目の前で笑う赤ん坊に対して激しく動揺した。

それが、始まりだった。

無事に退院して自宅に帰ってきてからは、みあは視界に漣がいないと例え母さんがどんなにあやしても泣き止まなかった。

はじめはそんなみあを煙たがっていた漣も、次第にみあと心通わせるようになっていった。