「みあ…」
そんなわたしに気付いた漣は、そっとわたしを自分の方へ引き寄せて優しく抱きしめてくれた。
「そんな荒みきった心を癒してくれたのもまた、みあなんだ」
「…え?わたしが…?」
『そうよ、みあ。あなたが漣を孤独から救ったの』
どういう、こと?
首を傾げるわたしに母さんは話を続けた。
『そして無事にあなたが生まれて、病室で漣とあなたはとうとう対面を果たしたの』
漣はその時も憎々しげにみあを睨み付け、つかつかとみあに近づき、その胸ぐらを掴んで顔に唾でも吐いてやろうと右手をみあに向かってのばした時だった。
…ぎゅ。
みあの小さな小さな手が、漣の小指を強く握って。
そして、ニッコリ笑ったのだ。