「ひとって恋すると変わるって本当だったんだね。いやぁ、今日莉玖にみあを紹介して良かったわ。いいものが見れた」
「…こい?」
居心地が悪いなかでもお腹ペコペコだったわたしはポテトを食べようとした手をピタリと止める。
「溝口。言うなよ」
「あ、ごめんごめん。だって、あまりにもあからさまだからさぁ」
恋…?
莉玖くんのわたしへの態度が恋の表れだとしたならば、お兄ちゃんの、漣の、普段からのわたしへの態度は…?
ただのシスコンじゃないとしたら?
わたしへの接し方の真意は?
今までの漣からの甘い言葉の数々は?
全てが本気だとしたら。
それじゃあ漣は、わたしの事を本当に真剣に___?
「みあちゃん?」
左耳から莉玖くんの声が聞こえてハッと我に返る。
「あ…、ごめんね。ちょっとボーッとしちゃった」
「あーもうっ!お喋りは食べながらにしよう!?お腹ペッコペコなんだけどぉ!」
志穂ちゃんの駄々っ子みたいな言い方に皆んな苦笑いしてハンバーガーにかぶりついた。
みんなで談笑しながら食べるのはとても楽しかった。
楽しいはずなのに、そんな中でもわたしの心は漣で埋め尽くされていた。