すると、わたしの腰を抱いている手と反対の手でわたしの頬を撫で、そのまま耳を触りその長くて綺麗な指でわたしの髪を梳(す)いた。
「っ、あ…っ」
その一連の動作にゾクゾクしてしまい思わず声がもれる。
「そんな色っぽい声出すなよ。我慢出来なくなるだろ」
そう言いながら兄の顔がどんどん近付いてくる。
…わたしは、迷っていた。
ヤキモチを妬いたと言えば、兄は喜ぶだろう。
でも、そうしたら、喜ぶだけで終わってしまう。
このまま何も言わなかったらキスされる。
それでもいいと思ってしまっている自分に戸惑う。
「みあ。目、瞑(つむ)って?」
目の前に迫っている兄にドキドキしながら、覚悟を決めてギュッとかたく目を閉じた。