「お、お兄ちゃん!?ち、近いよっ」
「だって、みあの可愛い顔、すぐ近くで見てたいし」
「っ、また、すぐそういう事言うっ」
例え兄からだったとしても、そんな甘い言葉を言われたら恥ずかしくて顔や体が火照ってしまう。
どうしてこうも兄はわたしに甘いのだろう。
「みあ」
ひとりでポッポしていると突然兄の真面目なトーンの声。
「な、なにっ?」
兄の方を向けばその表情も真剣で、思わず声がうわずってしまった。
「なんであの時、俺のこと『漣』って呼んだの?」
「っ、」
やっぱりその話ですか。
「みあ?」
「そ、それはっ、」
『それは周りにいた女生徒たちにヤキモチ妬いたからです』
なんて恥ずかし過ぎて言えないっ!
そんなこと言おうものなら、兄のことだから絶対調子に乗るに違いないんだもんっ。
「…言わないとキスするぞ」
「キッ!?」
ビックリして兄が座る反対側にのけぞると、兄はそんなわたしの腰を片腕で支え、そのまま自分の顔のすぐ近くにわたしの顔を寄せた。