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「みあ、ココア飲むか?」
「…ん。ミルク多めでね」
「はいはい」
自宅に帰ってきたわたし達はお互い着替えもせずにダイニングキッチンへ向かい、兄は早速キッチンに立ち、わたしの好物であるミルクココアを作ってくれている。
いつも、そう。
わたしが辛い思いをしたときや、落ち込んだときはこうしてココアを作ってくれる。
しかもいつも温かいココア。例え真夏だったとしてもだ。
そんな兄が作ったココアを飲むと不思議と落ち着く自分がいる。
「はい、どーぞ」
そんな事を考えていると、わたしの前にミルクココアが入ったピンクのマグカップがコトリと置かれた。
それをコクリとひとくち飲めば、その甘さと温かさが五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染み渡るようだった。
「…おいしい」
「当たり前。愛情たっぷり入れたからな」
ニヤリと口角を上げながら兄は得意げに言うと、わたしが座っているところに椅子を持ってきてすぐ隣に座った。