帰ろうとしたのに、いつの間にか横にいた賢太郎に腕を掴まれてしまった。

「離してもらおうか」

「嫌だね。お前、午後からの講義サボって帰る気でいるだろ」

「みあが待ってる」

「そのみあちゃんを養っていく為に勉強励むんじゃなかったのかよ」

「…っ!」

そうだった。俺は将来、国家公務員となって、なに不自由のない暮らしをしてみあの事を一生養っていくって決めていたんだ。

「賢太郎、ナイス」

「だろ?お礼はみあちゃんの手料理でいいから」

「食道潰してやろうか」

ああ、早くみあに逢いたい。