「これは、蝶の鱗粉。種類はキアゲハ。こうして触った時につく粉で、羽の表面の毛が平たく変化したものだよ。ナミアゲハとどっちか迷ったけど、こっちだと思う」

あの短時間で、しかもあの少しの汚れでこれに気がつくなんて光くんてすごい。

「さすがだよ、光。生物学者の血をがっつり引き継いでますな」

「単なる親父の趣味に付き合ってるだけだから」

「あのSKグループの社長をしながら趣味で大学教授ってありえねーし」

大輝がすごいすごいと言うもんだから、光くんが耳まで赤くして照れているのがわかる。

「うるせーよ、大輝。せっかく茜ちゃんがいるのに、お前とばっかり喋ってるじゃないか。俺は褒められるなら、茜ちゃんに褒められたいんだよ!」