理科室のドアを開けると、本を抱えた大輝が私に向かって駆け寄ってきた。

「茜!大丈夫だった?」

「うん、大丈夫。光くんは?」

「先生と準備室にいる」

私と大輝が話しているところに、茶色の木箱を抱えた光くんが、先生と一緒に準備室から現れた。

「うまく抜け出せたみたいだね」

「うん、恭一郎さんが」

「よかった」

光くんは私にそう言った後、後ろにいた隼人に向かって手招きする。

「隼人、こっち来て」

入学式以来ずっと険悪だったのに、なんの躊躇もなしに光くんのところに行こうとする隼人に驚いて尋ねた。

「あんたたち、いつのまに仲良くなってたの?」

「お前が生徒指導室に連行された時」

「なにそれ」