教室に戻ると隼人がいた。机に浅く腰掛けて、携帯をいじっている。

「ねえ、光くんがどこにいるか知ってる?」

「理科室」

「ありがとう」

くるりと向きを変えて教室を出ようとした私に、隼人が言った。

「俺も行く」

「なんで」

「理科室に用がある」

隼人は、座っていた机からぴょんと小さく飛んで立つと、スタスタと教室を出ていった。

「ちょっと待ってよ!」

隼人はちらっと私の顔を見て、もっと早く歩き出す。

「ちょっと待ってって言ってるでしょ!もう、あんただけだよ、私をお嬢さま扱いしないのは!」

先に行く大きな背中に向かって言葉をぶつけると、急に足を止めてくるりと向きを変えた隼人に、勢いよく正面衝突。