そんなある日、事件が起きた。
アルファクラスの試験問題の盗難。生徒が職員室に侵入し、試験問題を持ち出したという噂が広まっていた。

「深山茜、生徒指導室に来なさい」

クラスがざわついたのが分かる。生徒指導室に呼び出されるときは、何か問題のある時だけだからだ。生徒指導室に行くと、寝耳に水の話を聞かされた。試験問題の犯人は私で、理由は私のロッカーから、試験問題が出てきたからというのだ。

「知りません、私じゃありません」

「じゃあ、なんで君のロッカーに入っていたんだ?」

「それは、わかりません」

「君がやったんじゃないなら、これはどういうことなのか説明しなさい」

「…」

私は何も言えずに黙ってしまった。分からないものはわからない。でもこのまま何も言わなきゃ、私が犯人にされてしまう。