桜の花びらが、あの日の雪のように舞っている。私は手のひらを上に向けて、落ちてくる花びらを受け止めた。風がビューっと吹くと、花びらがサーっと降ってくる。いい香り。目を閉じて深呼吸をした。

「花びらついてんぞ」

いつの間にか隣にいた隼人が、私のこめかみのあたりについた花びらを摘んだ。クリスマスの隼人を思い出していたから、本人登場に動揺してむせてしまった。

「ゲホゲホッ…ちょ、急に現れないでよ。びっくりするでしょ」

「お前が道の真ん中で寝てんのが悪い」

「寝てないし!」

私がプリプリしながら歩き始めると、隼人もついてくる。

「なんで歩いてんの?お嬢さまなのに」

「隼人だって歩いてるじゃない、おぼっちゃまのくせに」