璃人さんにちゃんと挨拶しないと…!
そんなことを考えながら、収録スタジオに向かう廊下を八代瑛茉と歩いていた時。
「璃人くん、お疲れ様〜」
「あ、お疲れ様です。今日はよろしくお願いしまーす」
前方からそんな声が聞こえ、思わず僕はハッと顔をあげる。
数メートル離れた場所に立っているのは、まぎれもなく璃人さん本人。
他の演者の方だろうか?仲良く会話をしている姿に目が釘付けになった。
…やっぱり、璃人さんカッコいいな。
ビジュアルもいいし、歌も声もいいから声優の仕事だっていっぱいしてるし…。
学校の先輩だけど、今の僕からしたら遥か先…いや、雲の上の存在なのだと改めて実感する。
今回、収録場所が同じため必然的に璃人さんのいる方向に向かう僕ら。
そして、その距離が近くなるにつれ、僕は緊張が増していき思わずゴクリと息を呑む。
すると。
先に僕たちの接近に気づいた璃人さんが顔をこちらに向け、パチッと視線が合ったような気がした。