(師匠の他にそんなすごい魔術師が……?)


 それにしてもあまりにも規模の大きい呪いに唖然としてしまう。カイルや司教様も呆然としていて、ジャレドだけがウキウキと私にかかっている呪いの魔術を褒め称えていた。


 しかし慌てたのは、聖教会のトップである司教様だ。今までにない迫力で師匠に詰め寄っている。


「ジャレド! それならこの国中にかかっているこの魔術を、おまえが解呪できるのか?」


 その言葉に私とカイルは顔を見合わせた。師匠ならこの呪いを解いてくれるかもしれない! 私たちの顔に笑みが浮かび、思わず手を握り合う。しかしそんな期待は、師匠の笑いであっという間にかき消された。


「まさか〜! 解呪できるとしたら、この国では一人しかいないよ〜」
「それは誰なんだ!」


 司教様の問いにヘラヘラと答えていた師匠は、急にくるりと私のほうを振り返って指差した。


「聖女のサクラだけだよ」


(わ、わわ、私!?)


 私は聖女であって、魔術師じゃない。しかも瘴気の浄化に特化した能力なのに、どうやって呪いを解けというのだろうか。カイルや司教様も、わけがわからないといった様子だ。