「誰だおまえは! サイラから離れろ!」
「ん〜? あれ〜? カイルじゃないか? なにをそんなに怒って……うわ! 危ないな!」


 キンと音がして、カイルの剣が師匠の首元に当たる。しばし鋭い眼光で師匠を睨んでいたが、すぐに誰かわかったようだ。眉間にシワを寄せたまま、カイルは剣を鞘に戻した。


「ジャレド! いきなりどうしたんだ! もしかして転移してきたのか?」
「あ〜! 伯父さん! そこにいたの? 俺のぶんのランチはある?」
「ジャレド……」


 騒ぎにあわてて戻ってきた司教様が、師匠の相変わらずな態度に頭を抱えている。一年ぶりだというのに挨拶もなく、最初の言葉が「ランチある?」だもんね。ガックリくるのも無理はない。


 すると師匠は私のほうを見てにっこり笑うと、自分の胸に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。