(わああ! 司教様だあ!)


 白い髭が自慢のサンタクロースみたいな風貌の司教様。私がこの国に来てからというもの、いつも優しくしてくれて、まるで本当のお祖父ちゃんみたいだった。


「司教様! 今日も師匠が練習の時間に来ません!」
「なに! あの女たらしの甥っ子はまた遅刻か! サクラがこんなに頑張ってるというのに、あやつは……!」


(あのあと、師匠は司教様にしこたま怒られたんだっけ。そのうえお給料を減らされてた。ふふ……)


「司教様! 師匠が私に体に入った瘴気を取れと、変なマッサージをさせようとしていますが、私騙されてます?」
「サクラ、すまない……。瘴気を体に入れても平気なのはこの国であやつだけだ。申し訳ないが、監視する者をつけるから練習してもらえないか? 褒美にサクラの好きなお菓子を用意しておこう!」

「わ〜い! お祖父ちゃん大好き!」
「お、お祖父ちゃんじゃないが……まあいい! サクラの好きに呼びなさい!」