「まず、処刑をする崖に行く護衛騎士は全員、俺の隊の者に変えろ。崖についたら俺が彼女を連れて行く。その間、アンジェラ王女が俺たちの側に来ないよう、できるだけ馬車の中で待機させるように促してくれ」

「わかりました。しかしその後、団長たちはどうするのですか? まさか、そのまま崖下にドボンなんてことはないですよね? 昨夜の大雨で川は激流です。いくら団長でもさすがに……」

「それは大丈夫だ。彼女と一緒に崖から飛び降りた瞬間に、転移する予定だ。むしろ心配なのは、その後のアンジェラ王女だな……」


 俺が崖から飛んだ後は、主にケリーが王女の相手をしないといけない。騎士団長の俺まで崖に飛び降りたことの理由がないと、混乱を招くだけだ。しばし俺が考え込んでいると、ケリーは真剣な顔である提案をした。


「そうですね。ここは彼女を悪者にするのはどうでしょうか。やっぱり彼女には誰か仲間がいて、騎士団長ごと連れ去られそうになったが、間一髪、転移で逃げたとか……」


 その言葉で一気に眉間にシワを寄せ、グッと唇を噛みしめる。