次に目を開けた時、最初に目に入ってきたのは応接室の天井だった。どうやら気を失って倒れたのでソファーに寝かせてくれたみたい。それなのに今の私はやけに体調が良くスッキリしていた。
「サクラ! 起きたのか! 喉は平気か?」
目を覚ましたのに気づいたカイルが、すぐさま隣に座って私の首筋に手を当てる。少し冷えた体にカイルの温かい体温が心地よく、私は安心させるようにニコリとほほ笑んだ。
(そうだ! 声も出せるんだった!)
いつもの癖でジェスチャーで済まそうとしちゃった。私はあわててカイルに話しかけた。
「あーあー、大丈夫みたい。心配かけてごめんね」
「いいんだ。顔色も良くなったな」
元気そうな私を見てカイルが安心した顔でほほ笑む。するとその彼の背後からゾロゾロとこっちをのぞき込む顔が見えた。