(あ……! まさか……!)
瞬く間に検査板からは虹色の光が浮かび上がり、部屋中に金色の粒が舞い始める。幻想的なその光景はまさに私が召喚された時と同じで、懐かしさに胸が締め付けられそうだった。
(魔力が戻ってる……?)
「おお! やはりあなたこそが、聖女様! この美しい虹色の光。まるで神が降臨したかのような――」
「ジャレド」
「まあ、そういうことです。王女様。彼女が聖女だということ、わかってもらえましたでしょうか?」
いい加減にしろと言わんばかりの司教様の呼びかけに、師匠はあわてて口調を戻すと王女のほうを振り返った。
するとガタンと椅子を乱暴に倒し、王女が叫びだす。
「そんなわけないわ! 魔術師ジャレド! あなた、この検査板に細工をしたのでしょう?」
わなわなと震えながら師匠を睨みつけ、今にも飛びかかりそうなほど怒っている。しかしそんな鬼気迫る表情に動じることもなく、王女を見つめるジャレドの瞳は氷のように冷たくなっていく。