「王女がここに何をしに……まさか! サクラが生きていることに気づいたのか?」
するとその問いに答えたのは、意外にもブルーノさんだった。
「それがカイル様。王女様は手紙に書いたことを確かめに来たと、おっしゃられておりました」
「手紙……ふむ。ならば、サクラさんの死体が報告されていないか、確かめに来たということか」
「サクラの死体? なんのこと?」
(そういえば、師匠は話し合いが終わってから転移してきたから、私が処刑されそうになったこと知らないんだ)
きょとんとしているジャレドに、カイルが王宮であったことや処刑について詳しく説明している。するといつも明るい師匠の顔が、ほんの少し曇った。
「……そうか、なるほど。なら君たちは奥の部屋に隠れていればいいよ」
「ジャレド、おまえ変なことをするつもりじゃないだろうな?」
司教様の目にも師匠の変化がわかったらしい。不安そうに見ては「おまえも奥で待っていてもいいんだぞ」と勧めている。