「呪いを解きたいなら、一度この国の結界を全部壊さないといけないからね。伯父さん、結界を作ったのは誰だっけ〜?」


 からかうようにクイズを出すジャレドの言葉に、司教様はハッとして頭を抱えている。そして絞り出すような声で、質問に答えた。


「初代聖女様だ……」
「そう! 正解!」


(初代聖女様? そんな人がいたんだ)


 この国に召喚された人は私だけじゃなかったのだ。そしてその最初に召喚された人が、この国に結界を張っていたとは……。


「僕たち聖魔力持ちでも、結界は作れないし壊せない。それができるのは同じ聖女だけ。だからサクラは呪いが解きたかったら、結界を壊さないとね!」


 場違いなほど明るいジャレドの提案に、再び司教様は頭を抱えている。


「そ、そんなこと王家が許すわけないだろう……」
「じゃあ、忘却の呪いはもう野放しでいいんじゃない? これからの未来が大事ってことで」


(そ、そんなひどい! 自分は覚えているからどうでも良くなってる!)


 しかし師匠のその言葉にすぐさま反応したのは、私ではなくカイルだった。