試験終わりの脱力感を感じつつ、後は夏休みを待つのみ。毎日の午前補習があっても夏休み。気持ちが楽だ。

 部活が楽しみなわけではないが、久々に筆を持ってマロン先輩の面白い話でも聞きたいなぁと思いながら校舎奥の美術室の前に行くと、部屋の前で見覚えのある人が立ち止まっていた。

「……モモカ先輩?」

「あっ朝貴君」

 以前マロン先輩が良い感じだと自慢していたモモカ先輩が、中に入れずにいるようで尋ねてみると、いきなり入る勇気がなかった……と。