「私、図書室、...行ってくる、」


図書室で新しい本を取って来ることにした。

どうにもこの気持ちを感覚を、どこかへ置いていかなければ。

消さなければ、捨てなければ。

そう焦って、せっかくのご飯も最後はかきこんで。


それだけ言って、出てきてしまった。


静かで広くて少し寒くて、灯りが優しい色をしている屋敷。


治療院を開いていてもずっと忙しいわけじゃない。

誰もきていない時間は図書室から持ち出した本を読んでいる。


でもあの魔法の部屋で過ごしてしか得られない何かも、確実にあるのだ。


「...うぅ...っ、」


いつものひんやり、でも外より温かい空気に包まれたら少し落ち着くけれど、逆効果。

頭が回るようになって、朝から今まで全部思い出して、悲しくなって、悲しくなって...。

でも家族に会いたくて、...でも会えないし、離れたのは私からだ。



「ひとり...っ、怖い、...私が離れたのにっ...」


今日何度目の涙だろう。

瞼が熱くて重たくて、でも気持ちがぐちゃぐちゃだから、どうしても止まってくれない。

「───裏切り、...だもん...っ」


そうだ、裏切りなのだ。

自分で勝手に決めて、それでいて後悔してる。

でもこれは私の行動ともう一人の自分の裏切りだ。