食は幸せ、美味こそが正義。

そんな私の信念とはアマゾン川の向こう岸くらいにかけ離れている。



めちゃくちゃ勉強熱心だなあと、いつも感心する。

私は逆に、やりすぎるとかえって遠のいてしまうから勉強は適度にしている。好きだし楽しいんだけどね。


ささっと一緒に食事を摂ったら、彼はお決まりの木屋、私は図書館へ。


あの魔法の図書館は、私の新しい住処になった。

辞書があれば、フェランドール語の医学書もだいぶ読めるようになった。......と自負している。


学生時代密かに取り寄せていた医学書とは、桁違いの量と質だった。

闇医者による人体解剖図の精密さには、思わず声を上げてしまうほど驚いた。


大陸の北西部で、闇医者による非合法の人体解剖が行われているらしい。

噂は知っていたが、本当に解剖図を見るとは思いもしなかった。

非合法はいけないことだし、それを読むのも申し訳ないが、ありがたいと思うのも否めない...。


それよりも気になるのはこの図書館の仕組みだ。

誰も出入りしていないはずなのに、ここ数か月、時々新しい本が増えているのだ。


魔法って本当にわからない。



時計のベルで本から現実に戻され、夕飯を作ったところまでは、いつもと同じだった。