私を嘲笑う声。

蔑むような視線。


目が眩むような明るさの大広間で、私は一人で立っていた。


涙が(こぼ)れないように目元に力を入れ、がくがくする脚を必死で隠し、無表情を取り繕った。

でも、カラカラに乾いた喉からは、声が出なかった。


卒業式のパーティーのダンスのレッスン中、伝書鳩がホールに、私とアリーナに手紙を落としていったのだ。

雨季。

学校の卒業式典は、社交界デビューでもあるため半年前から準備が始まる。


ヘルラン花嫁学校の卒業は、とても特殊だ。

どこかの子息と婚約が決まっている令嬢は5年で卒業するが、決まっていない娘は1年、お相手が決まるまで留まることが許される。

留まる6年生は下の学年からも馬鹿にされ散々辱めを受けるという話は有名だった。


王家に嫁ぐため5年で卒業する私と、入学準備としてやってきたばかりのアリーナが一緒に学校にいる、僅かな期間だった。


卒業学年の私たちに加え、他の学年の生徒たちもレッスンを見に来ていた中での速達の鳩。