自分以外の誰かにまでご飯を作り、膳立てをする。

加えて、屋敷には使用人もいなさそうだ。

自由の実感、みたいなものがこみ上げてきて、嬉しくなった。

思わずふふふ、とにやけてしまう。


そうよ、自由の身!

イヴァンは変わり者だけれど、国境を越えたところで住む場所も与えてくれた。

おまけに海の図書室だってある。


よく考えれば素晴らしい条件───いや、よく考えなくても最高の条件!!




あ、でもそのありがたい方への食事を、数時間すっぽかしてしまっていたんだ。


いそいそと外に出て煙の出ている小さな木屋へ向かう。