「私、掛嶋くんみたいなチャラくて、遊んでそうな人、嫌いです」

「......」

「からかってるのか、反応を楽しんでるのか知りませんけど、安心してください。みじめに片思いしてる私を、あざ笑いに来たんですか?」

「......」


「私、掛嶋くんみたいな人、好きにはなりませ、」


「———うるさい」


「え......っ」



グ、っと力強く手首をつかまれる。


低い声が響いて。

鋭い瞳が私を見る。

掛嶋くん......?

射貫くように私を見てから、歩き出した彼。


手首をつかまれてるから、当然つられるように足が動く。

力じゃ、この人には勝てない。

振り払えない、ほどけない。


......しょうがない。

私は、引きずられるようにして、掛嶋くんの後をついていった。



屋上。

屋上に続く階段を上がっていく掛嶋くん。



「......掛嶋くん?」

「......」



帰ってくるのは、相変わらず無言。