そう言って、掛嶋くんは、口角を上げて。

私はもう何が何だかわかんなくって、
そのまま、掛嶋くんと向き合っていたから。

裕木くんが、私たちをどんな目で見ていたか、......なんて。

そんなの、知るわけない。




..........❋





「......何ですか」

「ん? 移動教室から帰る途中なだけでしょ?」

「なんで私の隣を歩くんですか」

「え? そりゃ、好きだから?」

「チャラっ。チャラい人、嫌いです」

「そっかー」



さらりと受け答えする掛嶋くん。

なぜか私の隣を歩いている。

......なぜ私は、掛嶋くんと話しているのでしょう。

ああ、視線が体中に突き刺さるようだよ......。

こういういざこざは避けてたのに。

掛嶋くんのせいだ。

絶対、学校中の女子を敵にまわしてしまった。



「......高嶺の花じゃなくって、絶対フレンドリー」



そんなことをつぶやくと、



「橋本さん、だけにだよ?」



そんな言葉が返ってくる。

唇に、人差し指を立てて、こっそり微笑む。



「———秘密、だよ?」

「......」



しぐさがいちいち色っぽい。

何なんだ、この人。